2011年10月15日の毎日新聞で、モンゴル国・アメリカ・日本・UAE・IAEAが模索してきた、モンゴル国内の使用済核燃料の最終処分場の建設計画を、モンゴル国政府が断念することを決定したと報じられました。

記者は、当初からこの計画の内容を報道してきた会川晴之さんです。

使用済核燃料最終処分場建設については、モンゴル国内の反対の世論を盛り上げた背景には、大阪大学の今岡良子さんをはじめとするfacebookでの日モ共同の反対活動や、国立民族学博物館の小長谷有紀さんをはじめとするMoPIさんによる、モンゴル国内の主要な新聞五紙での一面記事掲載などの努力がありました。一人ひとりが粘り強くあきらめずに、モンゴルのために反対を呼びかけた努力の成果とも言えるでしょう。

しかしながら、モンゴル国にはまだ、重要な課題があります。

・モンゴルでウラン鉱を採掘するのか？
・モンゴルでウランを加工するのか？
・モンゴルで原子力発電所を建設するのか？
・モンゴルでウランを輸出するのか？
・モンゴルの使用済核燃料はどう処分するのか？

これらの問題について、モンゴル国はまだ、明確な解答を見出していません。
推定140万トンという世界屈指の膨大なウラン鉱は、主に地下資源採掘による経済発展を始めたモンゴル国にとって、簡単には無視できません。

また、モンゴル国は現在、首都ウランバートルをはじめとする都市部で、石炭による大気汚染が深刻な状況にあります。
さらに、モンゴル国の鉄道網をモンゴル国全体に拡大整備する計画上、従来以上の電力需要があります。そうした解決策として、原子力発電所という選択肢が存在しているのです。

懸念されるのは、今回の建設反対のムーブメントは、「日本企業の参入による建設反対」という性格があることです。今後、モンゴル国とウラン開発を交渉するであろうロシア、フランス、中国といった他国との交渉については、言及されていません。最悪、モンゴル国の核開発から、単にアメリカと日本が外されただけという結果に、ならないとは限りません。

モンゴル国は、使用済核燃料の最終処分場がモンゴル国以外であれば、それで良いのか？
それとも、世界が協力し合う脱原発の中で、ウラン鉱採掘から凍結するのか？

日本は引き続き、モンゴル国と理性に基づく議論と交渉を、深めていくことが必要だと思います。

2011年10月15日
みずばしょう

参考Web：
モンゴル政府：核処分場建設計画を断念　日本に伝達
http://mainichi.jp/select/world/news/20111015k0000m010153000c.html
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