フジテレビの『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!? 』「672時間滞在でわかった これがホント!?のモンゴル」(9月18日 0:40-2:10放映)が現在、モンゴル関係者の間で騒動になっています。

モンゴル人は大人になっても母乳を飲み、他人にも飲ませる


あまりに衝撃的すぎる内容なので、ここに番組の該当箇所を、引用します。

ナレーター:
ウランバートル滞在8日目。モンゴル美人を探してみた。この日のウランバートルの町を散策していると。

ディレクター:
すごいほら、こんなとこにゲルですよ、ほら!

ナレーター:
実はよく見てみると、町中にもゲルが!気になったので、訪ねてみた。

ディレクター:
いいですか。お邪魔します。こんにちは。あっ、赤ちゃんいる、赤ちゃんいる。美味しそうに飲んでる。

ナレーター:
赤ちゃんはすっかり満腹のご様子。と、お母さんがさらにおっぱいを搾りはじめた。すると。

ゲスト:
搾乳だね。

ディレクター:
えっ?ご主人さん何すんの?えっ、飲むの?

観客:
(ざわめき、驚きの声)

ナレーター:
飲んだ!

観客:
(驚きの声)

モンゴル人男性(吹き替え):
飲んでみるか?

ゲスト:
(驚きの声)
嫁の乳飲ますんですか?  

ナレーター:
笑顔で勧められたので飲んでみた。

ディレクター:
ほんと甘い、まじで甘い。初めて母乳って飲んだ。かみさんの母乳って飲んだことないけど初めて。

観客:
(爆笑)

モンゴル人男性(吹き替え):
モンゴルでは昔から母乳は体にいいので、大人も飲むんだ。

ナレーター:
モンゴルではお母さんのおっぱいは、みんなのものだった。

観客:
(笑い、ざわめき)

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ゲスト:
あの。奥さんの母乳を飲んでるって、普通ですか?

ウルジさん:
いやあの、体にいいので。

ゲスト:
ひとの奥さんの母乳をもらったりもすることあるんですか?

ウルジさん:
ありますあります!

観客:
(驚きの声)

fujitvmongol02


これはびっくり!!
マジですか、ウルジさん?


モンゴルなう!のMorinhoor編集長が、ウルジさん(モンゴル国商工会議所日本 会頭)に直撃インタビューしたところ、「母乳は肝臓などの内臓に良いので大人でも飲みます。他人に飲ませるときは、乳房から直接ではなく、容器に入れてから飲ませます。」ということでした。

しかしこの番組の内容に、研究者たちは異を唱えています。大阪大学の今岡良子准教授(モンゴル遊牧地域論・ジェンダー研究)は、聴いたことも見たこともないと驚き。和光大学のバー・ボルドー非常勤講師(モンゴル文化人類学・モンゴル相撲研究)は、「ない」と断言。末っ子が例外的に3歳くらいまでは授乳を受ける以外は、モンゴルは自立をうながすために離乳が早いとのことでした。

また番組の中では、日本人ディレクターがザミンウデ駅から出て、中国との国境のゲートを無許可のまま徒歩でくぐり、途中で国境警備員に叱られるというシーンがあります。これは、現実にはありえない、明らかな演出です。

日本人ディレクターが母乳を飲んだウランバートルのゲル地区は、雪害などで家畜を失った遊牧民をはじめ、経済的にきわめて厳しい世帯がゲルに居住しています。そうした点からも、非常に心配な内容です。

「モンゴル人は大人になっても母乳を飲む」という内容がテレビで放映されたのは、実はこれが二回目です。

TBSの『世界ウルルン滞在記』「ラクダを泣かすホーミーに・・・安めぐみが出会った」(2005年9月8日放映)でも、モンゴル人は大人になっても母親の母乳を飲むという内容で、実際に15歳から20歳の複数の男女が、母親から授乳を受ける姿が放映されました。

この時もモンゴル関係者やモンゴル人の間では、オブス県の末っ子への授乳は3歳から5歳くらいまで行なわれる場合が確かにあるが、さすがに大人になってからの授乳はありえないという話題で持ちきりになりました。

もしも「モンゴル人は大人になっても母乳を飲み、他人にも飲ませる」が事実であれば、民族学や文化人類学などで、モンゴルの民間療法としての母乳の利用という発見になります。

しかし、仮に番組を盛り上げるためのヤラセの演出であったならば、とても冗談で済まされる話ではありません。

日モ関係を護るためにも調査をすすめ、後日また報告したいと思います。

少なくとも、母乳を飲むことを目的にモンゴル観光やゲルの訪問をすることは、くれぐれもやめてください。

2011年9月21日
みずばしょう



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