こんにちは ひでです。

公式サイト

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https://lageri-movie.jp/
山本幡男。シベリア抑留で壮絶な死を迎えた男。

彼の人望が周囲の共感を呼び、彼の遺書を妻子のもとへ届けるのに腐心する姿が人々の感動を呼ぶ。
昨年(2022年)の年末、「嵐」の二宮和也がこの映画の主演を演じていたので、覚えている方も多いと思います。
山本の経歴をざっと紹介すると
明治41年(1908年)、島根県知夫郡(西ノ島)黒木村大字大山島出身。六人兄妹の長男として誕生。父親は地元の小学校の校長であった。旧制中学卒業後は旧制東京外国語学校(後の東京外国語大学)へ進学し、ロシア語を学ぶ。だが在学中に社会主義に没頭して左翼運動に参加していたことから、1928年(昭和3年)の三・一五事件の際に逮捕され退学処分となった。1933年(昭和8年)に妻モミジと結婚し、4人の子供をもうける。
1936年(昭和11年)に満州にわたり、南満州鉄道内の調査機関である大連市の満鉄調査部に入社。第二次世界大戦末期の1944年(昭和19年)、召集令状により二等兵として日本陸軍に入営。ロシア語に長けることから、ハルビン特務機関に配属。戦後、その経歴が仇となあり、ソ連に抑留。スヴェルドロフスク州の収容所へ収容される。満鉄調査部での出張活躍がソ連に対するスパイ行為と見なされ、戦犯として重労働20年の刑を下された。
1953年(昭和28年)5月、山本は喉の痛みを訴え収容所内の病院に入院。翌1954年2月に設備の整ったハバロフスク市内の中央病院へ転院するが、末期がん(喉頭癌性肉腫)で手遅れと診断され、同年8月25日、収容所内の病室で死去。享年45歳。
ざっとこのようなかんじです。
しかし、彼にはモンゴル人、また中央アジアを研究する人たちにとっては非常に重要な文献を残していることは、あまり知られてないようです。
〇山本の見た北東アジア
山本は、ロシア語の語学をはじめとする実力を発揮し、一冊の本を執筆している。

『北東アジアの諸民族』(中央公論社)(昭和16年(1941年))
満鉄所属当時の執筆であり、当時のソ連の社会、経済、軍事などに関する書を執筆して高い評価を受けたと言われている。
『北東アジアの諸民族』は大きく「総説篇」と「各説篇」の二部構成となっており、「総説篇」で彼は北東民族を以下の通り大別している。
1、古代アジア族(露語でパレアジアートと言ひ、十族に分たれている)
2、ツングース族(細かい部族に再分される)
3、トルコ族(ヤクート族など)
4、蒙古族(ブリャート族)
5、スラヴ族(ロシヤ人、ウクライナ人など)
6、所謂「極東文化族」(支那人、半島人など)
7、セム族(猶太人)
8、その他
さらに山本は上記民族を「原住種族」と「外来種族」に大別しており、前者は上記1〜4まで、後者を6〜8に分別している。
およそ現在の民族分布も基本的に変化はないが、山本がブリヤート人を「『蒙古族』(モンゴル人)」としっかり認識・定義しているところは非常に特徴的である。
では、かれは「ブリヤートモンゴル人」をどのように見ていたか。「各説篇」の「5、バイカ地方のブリヤート族」の記載に詳しい。
「5、バイカル地方のブリヤート族」は下記3部構成となっています。
A、ブリヤート族の歴史
B、ブリヤート族の民族的属性
C、ソビエト時代のブリヤート族
山本はブリヤートの歴史に関して、「A、」の冒頭で次のように述べている。
世界で最も深い湖と言われる東シベリヤのバイカル湖一帯の地方は古来ブリヤート族の「故郷」である。ブリヤーチャと呼ばれるこの地帯に人間の生活が始まったのはよほど古い時代であり、ポムウスによれば「人類史の黎明期」であり「先階級社会の初期」に属し、現代の科学は既にこの地方に旧石器時代の遺物を発見した。
19世紀のブリヤート人
とあり、山本がバイカル湖畔こそ、モンゴル民族発祥の地であり、人類史においても非常に重要な土地あることを既に1940年代に認識して居たことになる。あの『グレートジャーニー』の遥か以前のことである。
ざっと、山本に関する書籍を簡単ではありますが紹介させていただきました。
彼は単に「シベリア抑留で亡くなった可哀そうな人」という評価だけでは終わらない。北東アジア史研究に貢献した一人の功績者でもあることはもっと伝えられてもよいと私は思います。
これをきっかけに、中央アジアやモンゴルに興味を持ってくれる日本人が増えてくれる事を願ってやみません。
そして今年はこれを見る。

「プーチンより愛を込めて」
2018年製作/102分/G/ラトビア・スイス・チェコ・ロシア・ドイツ・フランス合作
https://moviewalker.jp/mv80783/?mw=youtube
そして今年はこれを見る。

「プーチンより愛を込めて」
2018年製作/102分/G/ラトビア・スイス・チェコ・ロシア・ドイツ・フランス合作
https://moviewalker.jp/mv80783/?mw=youtube
寄稿:ひで
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