
【写真】モンゴルの第三の政党に意欲を燃やすナランバヤル・ウランバートル市議=2023年5月23日、妻のトールさんが経営する「できる日本語センター」
モンゴル国の政党は、人民党と民主党が二大勢力だ。こんな中、首都ウランバートル(UB)の市議会議員を務めるナランバヤルさんは、第三の政党として「人間党」を伸ばそうと頑張っている。人間党の理事でUB支部長であるナランバヤルさんに聞いた。
人間党は目下、国会議員が1人、UB市議3人、UB区議15人。UB中心の政治活動だ。地方でも活動しているが、浸透は十分ではない。
モンゴルの国会議員は一院制で定数76。日本の外務省の資料によると、2020年6月の総選挙の結果、人民党62、民主党11、みんなの連合1、正義・有権者連合1、無所属1となっている。この正義・有権者連合は、人間党と社民党、正義党が連合したことによるという
。
この結果、人民党が強く、ほかの政党はパッとしない。「野党の勢力が弱いのは大きな脅威だ」とナランバヤルさんは力を込める。
人間党は、もともとモンゴル・ナショナル労働党という左寄りの政党だったが、2021年1月、人間党と名称を変更し、路線も右寄りにしたという。
モンゴルでは目下、国会議員を増やす議論が出ている。小選挙区または中選挙区の計76人の議員のほかに50人の比例代表議員を増やそうとの議論だ。
ナランバヤルさんは、「76人では国会の常任委員会の定数が足りない。買収などを防ぎ、活発な議論を行うには、国会議員の数を増やさなければならない」と言う。
もっともモンゴルは人口340万。国の財政規模は小さく、国会議員の定数を増やすことに反対する意見も根強い。難しい問題だ。
ナランバヤルさんは、政治活動のほかに「良い学校をあなたのそばに」というNGOにも力を入れている。モンゴルは何でもUBに集中している。そこでオンラインで結び、郊外での教育改革に意を注いでいる。
モンゴルでは最近、物理化学など理数系の教員が足りない深刻な問題が起きている。特に地方での教員が足りない。「教員養成が課題」とナランバヤルさんは言う。
ナランバヤルさんは、もともと環境観光省の公務員だったが、新モンゴル小中高一貫教育学校の校長を7年ちょっと務めた経験がある。新モンゴル学園の理事長、ガルバドラッハさんの後任の校長だった。
2020年6月、校長をやめて国会議員に立候補した。しかし、わずかの差で当選できなかった。この年の10月、UB市議になった。
ナランバヤルさんは、2007年、天皇陛下が皇太子時代にアルハンガイ県を訪問されたとき、お会いした。殿下がウギー湖を視察され、ナランバヤルさんの上司が説明したとき、通訳を務めた。そのとき、記念に銀のスプーンをいただいたそうだ。「家宝にしています」と言う。
ナランバヤルさんは、モンゴル国立大で国際政治を学んだ後、京都大の修士課程に留学した。東京外国語大学に留学したこともある。妻のトールさんは日本語が堪能だ。息子さんは千葉県の国際医療福祉大学に留学している。
また最近、「日本の明治時代の外交」というモンゴル語の本を出版した。モンゴル国立大の学士論文を基に書いたという。モンゴル人がみた日本の歴史の本は珍しいそうだ。
ナランバヤルさんは、来年、国会議員に再挑戦するという。ぜひ、頑張ってもらいたい。
▽森修 もり・しゅう
1950年、仙台市生まれ。元河北新報記者。1998年、山形市で勤務していたとき、たまたま入ったバーでアルバイトしていたモンゴル人の留学生と出会う。以来、モンゴルの魅力に取りつかれ、2005年「モンゴルの日本式高校」、2012年「あんだいつまでも新モンゴル高校と日本」をそれぞれ自費出版。
コメント