こんにちは。「モンゴル情報クローズアップ」寄稿者のひでです。
10月13日、NHKニュースにてブリヤート兵士の苦境が取り上げられました。

NHKニュース:【動画】ロシア少数民族がウクライナに集中的動員され戦死者も


私も今年3月「モンゴル情報クローズアップ」において、ロシアのウクライナ侵略でブリヤート人ロシア兵がウクライナの捕虜になったニュースを取り上げさせて頂きました。
無題
○ウクライナで捕虜になったブリヤート人ロシア兵
http://mongol.blog.jp/2022/03/05/52036042

※その後半月後の続報記事
○モンゴル系ロシア兵についての近況報告
https://mongol.blog.jp/2022/03/12/52036166

2月のロシア軍によるウクライナ侵攻より半年が経ち、なかなか収束が見えない状況となっている。ウクライナ戦争については現在様々な方々が取材しているので、私はそのなかで、ロシア領内のモンゴル系兵士の実態について少しばかり書いてみたいと思います。

何故なら、歴史的経緯もさることながら、今ロシア兵でもっとも多い割合で徴兵され、かつ犠牲者を出しているのがロシア連邦共和国内の所謂「少数民族」だからです。
・ロシア軍のモンゴル系民族兵

「少数民族兵士」に関してはこの半年間で非常に多くの記事が書かれていまる。
以下にリンクを張ります。

・中日新聞:2022年10月3日
 「御用聞き畸了が派兵先導 戦死増えるロシア・ブリヤート共和国」
https://www.chunichi.co.jp/amp/article/556682

・ロイター:2022年9月30日
 ゼレンスキー氏「動員に抵抗を」、ロシア少数民族に呼びかけ
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-zelenskiy-ethnic-idJPKBN2QU2FE?taid=63363fdab37c4200012e6284&utm_campaign=trueAnthem:+Trending+Content&utm_medium=trueAnthem&utm_source=twitter

・WSJ :2022年10月4日
 クリミアのタタール人、プーチン氏の徴兵標的に
https://jp.wsj.com/articles/crimean-tatar-minority-is-in-crosshairs-of-putins-draft-11664852827

ロシアの独立系メディアであるメディアゾーナが分析した地域別の戦死者数トップはイスラム系のダゲスタン共和国。その次がモンゴル系のブリヤート共和国であり、9月段階で既に280人弱の戦死者が出ています。

一方、ロシアの人口の10%を占める首都モスクワ市民の戦死者は24人(同じく9月現在)にとどまっています。モスクワ市民はじめ、都市部の中産階級以上の国民の兵役逃れが相次いでいるのは周知の事実であります。
5959c_1675_47f55ecfe00ecf35486b1e4274ca0cec
9月21日、モスクワ中心部アルバート通りで動員令に抗議するデモに参加し、拘束される女性(共同)

・BBC ニュース:2022年09月24日
  ロシア国境に出国待ちの長い車列、予備役招集から逃れようと隣国目指す
https://www.bbc.com/japanese/63003762

兵役について、なぜこれだけの格差があるのでしょうか?無論経済、雇用の問題もあると思います。が、古今東西、所謂「少数民族」の地域において「動員」「徴兵」は真っ先にぶつかる課題でもあるのです。
Aleksey_Tsydenov_(2017-02-07)_2
現在、ブリヤート共和国の首長を務めているのは、同共和国に隣接するチタ州出身のブリヤート人(但し父はロシア人)で、ロシア運輸省次官を務めている46歳のアレクセイ・ツィデノフ氏です。
氏はロシアの与党「統一ロシア」の党員であり、プーチン大統領は2017年2月7日、長期化する地元経済の不況で支持率が低迷していた前任者に代わってツィデノフ氏を共和国首長代行に任命しました。ツィデノフ氏は2017年9月10日の選挙で統一ロシアから出馬し、87%の得票率で当選して正式に首長に就任するに至りました。

上記の経歴からもわかる通り、ウクライナ戦争に関しては完全にプーチン寄りであります。
(もっともロシア国内において、プーチン大統領と統一ロシアの「公式見解」や「意向」に否定的な首長が当選して就任する事はまずもって厳しいところではありますが)

例えば、4月14日にツィデノフ氏はSNSによる生配信を行い、
「ロシア軍や国家親衛隊と契約を締結した人々がウクライナに向かっている。共和国には勲章を授与された地元出身者が既にいる」
と語り、共和国民を積極的に動員しています。
現地のブリヤート人はこの首長を指して「モスクワの御用聞き」と称しているのは上記のような理由があるからです。

「金持ち喧嘩せず」
「衣食足りて礼節を知る」

この人類の生業の大原則に、北方の一共和国が贖うの難しい悲劇。今も動員令により真っ先に徴兵対象になっているブリヤートはじめ各「少数民族」の共和国。

ちなみに地元メディア『バイカルの人々』の報道によれば、ツィデノフ氏は最初の犠牲者の葬儀場数カ所には足を運んだものの、毎日行われるようになると葬儀場への訪問を止めたという。

しかし、今回の戦争における最大の被害者はほかならぬウクライナです。徴兵されたブリヤート人はあくまでロシア軍兵士という事実は変わらないのです。

次に、ブリヤート人ロシア兵によるウクライナ捕虜に対する虐待疑惑についても述べてみたいと思います。
FY0U0NZXwAA6fle
ベラルーシの反政府系動画メディア「NEXTA」7月29日付けの動画投稿に東洋人らしき若い、しかし下士官らしき聡明かつ屈強な兵士がウクライナ兵士を凌辱かつ虐待を行ったと伝えています。内容は

「カッターナイフで男性器を切断し、両手を縛りあげて自動車で市中引廻す」

という極めて残虐な行為であります。
ニュースリンク
https://twitter.com/nexta_tv/status/1552920783080546305

なお「NEXTA」Twitter公式アカウントによると、この兵士に対して以下の通り伝えている。

・ロシア兵士がウクライナ捕虜を執拗に拷問し、事務用ナイフで去勢するという衝撃的なビデオがオンラインで公開されました。情報によると、拷問は「アフマット」部隊の傭兵である「ヴィタリー」によって行われました。

果たしてこの「ヴィタリー」は本当にブリヤート人なのか?そして虐殺は事実なのか?

耳と目を疑いたくなりますが、GPSでスマホを所持していれば誰でも位置特定でき、かつ個人情報がすぐにSNSで拡散されてしまう21世紀前半においては、残念ながらこの兵士の所業は事実であると判断するしかありません
FYyz9N3aQAAwHEJ

「少数民族」であるブリヤート兵は已む無く徴兵され、またあるものは已む無く虐殺に手を染める。

これこそ戦争の悲劇、また亡国の悲劇であります。亡国の悲劇はウクライナ人とモンゴル人に日本人は学ぶ必要があるはずです。

改めて兵の冥福を祈る。そして戦争の一日も早い収束を祈る。

寄稿者:ひで
このエントリーをはてなブックマークに追加