ナムスライ
【写真説明】子どもを虐待から守る「魔法の城」の旗を掲げ、募金を呼び掛けるナムスラ
イさん=6月23日、新潟市中央区万代の「メディアシップ」

 ウランバートル市のゲル地区に、さまざまな虐待を受けた子どもを守り保護する民間施
設「魔法の城」がある。現在、2カ所目を建設中だ。新潟市の建設会社に勤務するモンゴ
ル人、ナムスライさんは、魔法の城計画を進めるプロジェクト「マジック・モンゴリア」
に共鳴し、募金などの支援活動を展開している。
 魔法の城は、モンゴルの若者4人が2013年に「金づちのアラーム」というNGOを設立し
たことに始まる。「マジック・モンゴリア」は、海外向けに英語で説明するときに使うプ
ロジェクト名だ。
魔法の城は2017年春に完成した。約2200平方メートルの敷地を国から買い取り、保護施
設、コミュニティー施設、ゲル付きの遊び場、家庭菜園用のビニールハウス、運動場など
を備えている。施設内では有料の保育園(定員50人)も併設している。
 2カ所目は、現在地の東約15キロに建設中だ。敷地は現在地の3倍あり、建物は2倍にな
る計画。目下、建物の基礎工事が進められており、来年の完成を目指している。
 資金は民間からの寄付金でまかなう計画。ナムスライさんは、今年2月、新潟市で募金運
動を始めた。主にSNSで「アルバイト(または給料)1時間分」の寄附を呼び掛けた結果、こ
れまで200人以上から約41万円が集まった。
 しかし、資金はまだまだ足りない。ナムスライさんは、今度はチラシを製作して、モン
ゴル料理を提供している全国の店に置いてもらおうと準備中だ。
 ナムスライさんは、ウランバートル市の新モンゴル高を卒業して来日、東京のABK日本
語学校を経て、2010年、新潟大工学部建設学科に入学した。卒業後は新潟市の建設会社「
本間組」に入社し4年間、現場の施工管理を担当した。今年4月からは、企画設計部で構造
設計に当たっている。
 魔法の城は、高校の後輩で高知大を卒業した男性が運営に深くかかわっていることから
、支援を始めた。高校同期で桜美林大を卒業した女性が、魔法の城の子どもたちに日本語
を教えていることを知ったときは、早速、文房具や自分が昔使った教科書を送った。
 ナムスライさんはまた、2015年、新潟モンゴル協会を設立した。モンゴル人の情報交換
の場として、また日本にモンゴル文化を広める活動を行っている。
 協会とは別に、日本人との交流にも取り組んでいる。建設業界のつながりでは、道路排
水の勉強会を開いたりした。モンゴルでは、雨が降ると、道路が川のようになる。駐車場
にも水たまりができる。コンクリートで固めた場所の排水は大きな課題だ。日本ではどの
ような対策を講じているかは参考になる。
 ナムスライさんは、新潟大を卒業して、すぐに就職した。大学院には進学しなかった
。「実際に建設現場で経験を積むことは、将来、モンゴルに戻ったとき、すぐに役立つと
考えた」と言う。
 建設会社で給料をもらいながら、大学院とは一味違う勉強を続けているのかもしれない
。そして仕事を離れては、ボランティア活動を通じて祖国への貢献を考え実践している。

▽森修 もり・しゅう

1950年、仙台市生まれ。元河北新報記者。1998年、山形市で勤務していたとき、たまたま入ったバーでアルバイトしていたモンゴル人の留学生と出会う。以来、モンゴルの魅力に取りつかれ、2005年「モンゴルの日本式高校」、2012年「あんだいつまでも新モンゴル高校と日本」をそれぞれ自費出版。
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