
【よい体験のアンカーをつくる】
モンゴル・ウランバートル の中心部にスフバートルというおおきな広場があり、日々ひとで賑わっている。
都会のど真ん中、国会議事堂の前で、おおらかにも結婚式のセレモニーなんかがしばしばある。
帰国の間際、広場で流しの絵描きが売り込んできて、一枚買った。
皮に描いた4,000円との言い値を、おもてのヘコミなどを指して、20ドルに負けてもらう。
成功してしあわせな人びとが言うには
「モノより経験にお金をかける」
のだそうな。
もっともな話しだけれども、さらに言えば
「経験を思いだすモノにお金をかける」
と、なおよい。
NLPという心理技術に「アンカーリング」という方法がある。
何か特定の記憶を錨(いかり:アンカー)として潜在意識にインプットすることを指す。
たとえば過去に楽しかった、成功した、幸せだった記憶を五感すべてでありありとイメージし直しながら、体のどこか、たとえば右手の小指をギュウギュウと握りしめて繰り返し、刺激を与え続ける。
それを繰り返すと、やがては右手の小指をひと握りするだけでよいイメージが蘇り、失敗や困難、緊張などのストレスを解きほぐせるようになる。
また、あまり意識しないでも、多くの人が旅から得るアンカーが、そのとき聴いていた音楽。
「この音楽を聴くと、あのときの旅のあそこの場面が蘇るんだよねぇ」というやつだ。
そして、先に伝えたとおり、アンカーは意識的につくることができる。
わたしはこの8月「地球探検隊」に同乗して、エルセンタサルハイの沙漠と草原の交わるところで、素敵な乗馬三昧の旅をした。
だから、スフバートル広場の絵描きさんには
「ゴビ(沙漠)をモチーフにした絵が欲しい」
とオーダーし、帰国後もモンゴルのイメージに合うように額装した。
まったくそのとおり、旅の風景にはなっていないかもしれないけれども、よい体験のアンカーになっていると思う。
そして、こういうモノは、たとえばスマホの写真よりもよいアンカーになる。
実は、ただ身近にあるだけで、目に入らなくても常々、モノはわたしたちの無意識に影響を及ぼしているのだ。
みなさんもよい旅をした折りには、たまに眺めたり遊んだりできる、想いで深いものを持ち帰るといいだろう。
人生の励ましになる。
モンゴル旅行体験談
寄稿 大道 卓矢
コメント