「シャーマンの世界」は、シャーマンとは何か!?に始まり、現代とシャーマニズムに渡るまで様々なシャーマンについての内容が記載されている本です。
豊富な写真や挿し絵などで楽しく読めるので、小難しくなく、わかりやすい解説書になっています。
シャーマン的観念は非常に微妙なものであり理解に際しては、翻訳が誤解を生むとのことで一概には説明出来ませんが、この本では、歴史や宗教との関連、シャーマンの種類など、様々な角度からシャーマンの側面が記載されています。
シャーマンを簡単に説明すると、シャーマンは医師であり、祭司であり、ソーシャルワーカーであり、霊能者でもあるとのことです。
自らのコントロールの元に、魂を異界にとばし、普通の人々には見えにくい霊と交渉することで、この世の様々な問題を解決する人々のことを言います。
本の中には、「スターウォーズは古いシャーマン的テーマの現代版と言え、シャーマン的戦いを非常によく反映している。」などのシャーマンの側面の記述もあり、楽しく読めます。
特にしっくりきたのは、「シャーマンの力とは何か」の項目の「場所の力」という記述でした。
シャーマンは天を崇拝することから、自然環境が豊かな場所が必要とされています。
力が集まると言われるアリゾナ砂漠やネイティブアメリカンが考える「神が立ち止まった場所」に立ち、健康と祝福を得よう。という月も星も風も神とともにあるという観念に通ずるとも感じました。
モンゴル、シベリアのシャーマンはもちろん、エスキモーのシャーマンやアマゾンシャーマニズムとの違いなどについても書かれています。
シャーマンという言葉は、キリスト教がそれほど狂信的でない時代に、ロシア正教の祭司によって持ち込まれ、シャーマンを神ではなく悪魔に仕える宗教者と見たそうです。
モンゴルやシベリアは古くからシャーマンが力を持つ地域で、シャーマニズムと言うとき、厳密にはシベリアとモンゴルの宗教を指すと言えるそうです。
この本は、単にモンゴルに興味のある人はもちろん、伝統や土地、霊と魂、宇宙などとの関連性も書かれているので、スピリチュアルに興味のある方にもおすすめです。
「シャーマンの世界」は、シャーマンについて幅広く取り扱いながら、浅過ぎず、初めて「シャーマン」という言葉を聞く人にも、詳しい人にも楽しめる1冊だと感じました。
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