モンゴル情報クローズアップ!

モンゴルの文化、ビジネス、投資、観光、最新話題など幅広い情報をお届けします。(通称:モンゴルなう)

カテゴリ: 書評・書籍

IMG_1645

毎度、編集長のタケシです。
新年早々、椎名誠旅する文学館から、お年玉プレゼントのように、『椎名誠自走式マガジン ずんがずんが 3』が届きました。送って下った事務方に心より感謝します。

今回は2回目になります。以前、『椎名誠自走式マガジン ずんがずんが 1』もらっています。大好きな椎名誠先生のサイン入りですけどね。詳細はこちら

椎名誠旅する文学館公式サイト

FullSizeRender
ずんがずんが は、恐らく日本で唯一無二の、本当に面白い本です。というのは、毎回誰もが考えたことがないようなテーマをモチーフに、ネタを広げていくわけです。

今回はなんと”最後の晩餐の前日に何をたべるか”というテーマです。
考えてみてください。もしも、あなたに聞かれたら、あなたはなんと答えますか?そして、本当にその答えで大丈夫でしょうか?

アメリカ、南アフリカ、フランス、イタリアなど在住の方たちの様々な料理の話が読んでで結構面白い。一番印象的だったのはネパールの方、”どんな食べもでもいいです。でも家族と一緒がいい。” 私もしみじみとそう感じています。

たいへん恐縮ですが、今回も私ちょこっと顔を出しています。気になる方ぜひ読んでみてね。30ページに載ってます。なお、アマゾン販売は在庫切れになっているので、直接→ 公式サイトからご注文して下さい。

最後に、掲載して下さった編集室の皆さんにも感謝です。






image
毎度、編集長のタケシです。
島村一平さん編集の「大学生が見た素顔のモンゴル」の献本が届きました!!心より感謝です。

たいへん恐縮です。というのは島村一平さんは文化人類学者で、モンゴル研究学者でもあります。長年モンゴルのシャーマニズムを研究し、それに関する論文などもたくさん出されいる方です。

シャーマニズムという名の感染病――グローバル化が進むモンゴルで起きている異変から
島村一平 / 文化人類学


シャーマニズムに興味ある方にはぜひ読んで欲しい一冊は↓↓↓これです。
増殖するシャーマン―モンゴル・ブリヤートのシャーマニズムとエスニシティ [単行本]

image

では、本題に入ります。

「大学生が見た素顔のモンゴル」はリアルに日本人大学生がモンゴルに留学してそこで見た、経験した、感じたことを書いたものになっています。正式にはモンゴルの文化や社会を勉強した学生たちの卒業論文でもあるそうです。

羊の毛色を見分けたり、馬を自由に乗りこなしたりできるようになって帰ってきたなどの話、面白さ満点です。内容もそうなんですが、卒論を書籍にするって発想はいいですね。逆に、モンゴルの大学でも導入して欲しい。

大学生が見た素顔のモンゴル [単行本] 

目次
はじめに                        島村一平
第1部 素顔の遊牧民
第1章 モンゴル遊牧民の子育て             平野あんず
第2章 タイガと草原に生きる遊牧民
     −フブスグル県のダルハド遊牧民との生活体験から    西口佳那
第3章 モンゴル遊牧民の馬の個体認識をめぐって
     −毛色を中心に                  吉村友里

第2部 街の素顔
第1章 モンゴル人のヘルール(口喧嘩)の技法      安藤晴美
第2章 幽霊譚から読み解く現代モンゴル社会       北田昂大
 第3章 モンゴルの学校には「いじめ」がない?      柴田友登

第3部 「伝統文化」の相貌
第1章「伝統」という概念のゆらぎ
     −モンゴル舞踊をめぐる「伝統」観の世代間格差      今井冴香
第2章 演じ分けられた民族音楽
     ―モンゴル国における2種類のカザフ民族音楽の創造    八木風輝

第4部 日本とモンゴルの接点をみつめる
第1章 比較してみた日本とモンゴルの歴史教科書
―元寇・ノモンハン事件・第二次世界大戦        樗木佳奈
第2章 柔道・レスリングは、モンゴル相撲の一部なのか?
−ウランバートルのモンゴル相撲道場の事例から       平山開士

あとがき                         島村一平







61g7EVWMfIL

毎度、編集長のタケシです。
モンゴル関係の新しい本、「モンゴル力士はなぜ嫌われるのか──日本人のためのモンゴル学」が12月25日より発売される予定です。著者はモンゴル業界で有名な宮脇淳子先生です。



△宮脇淳子さんのコメントはかなり辛口で面白いです。
当ブログでも何回も紹介してありますが、Youtubeチャンネルくらら「世界史のはじまり モンゴルを学ぼう」のシリーズ動画を一通り見ると良いでしょう。めちゃ勉強になります。


新書と言っても出版社からのコメントには 「本書は『朝青龍はなぜ強いのか』(二〇〇八年、ワック刊)を改訂・改題した新装版です。」 と書いてあります。『朝青龍はなぜ強いのか』は朝青龍が大活躍していた時に発売されてて、ほとんど人知っているかと思います。中古だと数十円で買えますけどね。



朝青龍の時代が終わった(引退した)ということがあってこの本はあまり売れなかった背景があります。

日馬富士の暴行事件でモンゴル力士が再び注目されているから、ある意味便乗商法ということですなぁ。



top

この本は、ほぼ4世紀を通して、ロシア(ソ連)がモンゴルをどのように見て政策を実行したのかを、スターリン統治下のソ連の対外政策におけるモンゴルの特殊性と普遍性を材料に記述されています。


ソ連国内では大規模なテロルを発動して国民を恐怖に陥れ、小国には圧力をかけて譲歩を迫り、時には飲み込んでしまうという独裁的・強迫的なスターリン体制にあって、ソ連とモンゴルの関係性はきわめてユニークなものであったといわざるをえない。


このユニークさにはスターリンのソ連にとってもモンゴルが有する戦略的な重要性という理由があるものと思われる。

1

もくじ

第1章 前史--ロシア帝国時代のロシア・モンゴル関係
第2章 1920年代のソ連の対モンゴル政策
第3章 1930年代のソ連の対モンゴル政策
第4章 ソ連の対モンゴル関与の拡大--ノモンハン事件に至るまで
第5章 第2次世界大戦とモンゴル独立への道


1917年のロシア革命後にロシア帝国からの独立を果たしたフィンランド、ポーランドやエストニア、ラトヴィア、リトアニアのバルト三国は、第2次世界大戦を前にスターリン統治下のソ連による圧力を受けた。


それと対照的なのは、清国の支配下にあったモンゴルで、ロシア帝国より先に崩壊した清朝から1911年に独立を宣言した後、ロシアおよびその後継国家たるソ連の支援を受けて実質的な独立を享受した。


以下、スターリンとモンゴルの関係性で、面白かった箇所を一部、抜粋します。

スターリンがヤルタ会談やその後の中華民国との交渉で、モンゴルの独立を主張したことの理由には、経済的、人口的にもロシアを圧倒しつつある中国の存在が大きいと言える。

引用

ソ連にとっても、中国を前に独立喪失を恐れ、ロシアとの正常な関係が死活的重要性をもっていたと言える。また、満州国を作った日本によってもソ連とモンゴルの結びつきは強くなったと言える。


第4章、第5章では、ノモンハン事件を通してソ連とモンゴルの関係を浮き彫りにしています。スターリンがモンゴルを非常に重要な国として位置づけている発言があります。

引用
アメリカの新聞人ロイ・ハワードに対して行なったスターリンの話は「国際的反響」を呼んだ。「もし日本がモンゴル人民共和国を、その独立を侵して攻撃しようとするならば、我々はモンゴル人民共和国を助けねばならない。・・・・我々は1921年の時と同様に、モンゴルを助けるだろう。」というものであった。

モンゴルが保有する天然資源という武器をロシアが利用したいとの思惑も見えてきます。

引用
19世紀から20世紀初頭にかけてのロシアのモンゴルに対する経済政策は帝国主義的で、モンゴルへの投資は中国やイランに比べて僅かだったが、大きな変化をモンゴル社会にもたらした。
〜(略)
ロシア企業は現地の安価な原料と天然資源を利用し、現地の労働者には僅かな給与しか支払わずに莫大な利益を上げた。彼らはモンゴルに新しい人民の搾取形態、すなわち資本主義的形態をもたらした。

2

もしもスターリンがヤルタ会談やその後の中華民国との交渉でモンゴルの独立を主張しなかったとしたら、はたしてモンゴルは独立を果たせたのだろうか。
中華人民共和国時代に入って今日までの新彊やチベットの状況を考慮すると、その確率はかなり低かったのではないか。

そうすると現在のモンゴル国民は、スターリンのおかげで独立を享受しているということになる。
----------------------------------------------------------------------------------
満州事変を引き起こし、満州国を作ったことによって、日本はスターリンの強烈な反応を引き出し、モンゴルを含む満州国の周辺地域に強大な陣地を構築させることになった。
そのひとつの帰結がノモンハン事件だった。
ノモンハンの戦いで日本に打撃を加えたとはいえ、満州国の消滅までソ連側の不安は消えなかった。
したがって1939年以降もソ連は日本に対する前線基地の一翼を担うモンゴル国内における動員体制の整備を怠らず、鉄道敷設等の準備を着々と進めていた。
他方で、独ソ戦が始ると、モンゴルはソ連の後背地として一定の役割を果たすことになる。
----------------------------------------------------------------------------------
ソ連にとってモンゴルは、1930年で70万人という希薄な人口よりも、長い国境にわたって中国と直接対峙せずにすむ緩衝地帯であるという地政学的な利点が最大の魅力であり、中国からの独立を後押しした革命時の指導部も、スターリン時代も、〜(略
この利点を失わないように同様のアプローチを取っているものと推定される。
〜(略
逆に、モンゴルからすれば国境を接するのは南北の両大国だけで選択肢の幅は狭いが、経済的、人口的にもロシアを圧倒しつつある中国を前に、独立喪失を恐れ、ロシアとの正常な関係の維持は死活的重要性を持つものと理解しているに違いない。

スターリンのソ連が全く慈善的にモンゴル国民の独立を願って後援していたのかといえばそうではなく、ソ連の安全保障を最重要の課題としてモンゴルに関与していく冷徹な戦略的思考が働いていたのであり、モンゴルという戦略的要衝を戦後も維持したいとスターリンが願った結果、中国もそれを認めざるをえず、モンゴルの独立が達成されたとのことです。

モンゴルは、第2次世界大戦終了後にスターリンのバックアップを受け中華民国からの完全な独立を獲得、国際連盟への加盟は1962年と遅れたが、国際社会からも認められる存在となって今日に至っている。
ソ連の衛星国家に過ぎなかったとの見方がある一方、曲りなりにも独立国家として現にモンゴルが存在することを考えるとき、それに果たしたスターリンの役割を無視することはできない。

中国側がモンゴルは自国領土であると一貫して主張していたことを考慮するならば、スターリンを称賛する一部モンゴル人の主張には一定の真実、正当性が含まれているといえよう。

ソ連、モンゴル、中国という3国の関係性など、モンゴルに興味のある方はもちろん、そうでない方にも歴史や世界情勢が勉強になるので、おすすめだと思います。



「スターリンとモンゴル」は値段も8千円と決して安いとは言えませんが、内容が充実していて面白いので、是非、読まれてみてはいかがでしょうか。






top

「馬の世界史」は、内容がかなり充実していて、馬を通して様々な歴史が学べる歴史本と言えます。


以下、目次の中のモンゴル関連箇所


第3章 ユーラシアの騎馬遊牧民と世界帝国
第8章 モンゴル帝国とユーラシアの動揺

など..

2

第3章のモンゴル帝国の最大領域を見ると、改めて大帝国だと認識することができます。

4

モンゴル帝国を同一緯度でヨーロッパに移した比較も面白く、スペイン以外の殆どを覆っていることがわかります。


本の中からモンゴル関連の箇所と思われる部分を抜粋します。


引用・・・

前1000年紀半ばを過ぎる頃には、騎馬遊牧民が歴史の舞台にくっきりと姿を現し、これらの遊牧民は様々な集団をなしたが、おおまかには、モンゴル系、トルコ系、イラン系の3つの人種にまとめることができる。


これらの遊牧民の集団が乱立するなかでも目立っていたのが、モンゴル高原の匈奴、東トルキスタンの月氏、西トルキスタンのサカなどである。


スキタイは地中海世界に隣接し、匈奴は中国に隣接するため、騎馬遊牧民の風俗習慣は中央アジア一帯に広くわたる。これほど広範囲に出現する騎馬遊牧民はいったいどこで成立したのか。
従来は、ユーラシア西方に起源すると考えられていたが、近年、考古学上、東方よりのものが古い傾向にあると見なされている。

3

また、モンゴル馬についても詳しく記述されています。


引用・・・

騎馬遊牧民の馬は、しばしば小さいと言われる。
遊牧民は遠征に際しても、馬の飼料をもっていかないから、どこにでもはえる青草ばかりか枯草すらも食べる小型の馬が適している。



現代でもモンゴル馬は小さいし、見栄えもしない。頭が大きく、首も太く、全体に毛むくじゃらで、眼も小さい。そのうえ、身体に比べて脚も太いから、ずんぐりとしてスマートさに欠ける。アラブ馬やサラブレッドと並べれば、およそ速く走るようには見えない。しかし、それは遊牧生活や軍事活動に、モンゴル馬のような小さくても粗食で忍耐強い馬が適していたからである。

5

そして、人口などの劇的な社会変化についても記載されています。



この他にも、最古の騎馬遊牧民キンメリア人やスキタイ族遊牧民「マッサダイ」の王墓「パジリク古墳群」などの馬に関する様々な歴史が記載されています。




「馬の世界史」は、馬を通して秦始皇帝兵馬凌やギリシャ戦車、ローマ軍と騎兵隊、モンゴル騎馬遊牧民など、多岐に渡る歴史を学ぶことが出来ます。



モンゴル好きな方にも、歴史好きな人にも、競馬が好きな馬好きな人にもおすすめの一冊だと思いました。uma


↑このページのトップヘ