今回は、日本国政府の公式情報からの引用をもとに、安倍総理をご歓迎いただいたモンゴル文化の高さを、紹介したいと思います。
まずは、Youtube動画をご覧下さい。

途中で歌われる「北国の春」は、モンゴル国で特に人気のある日本の歌です。

日本人が特に驚いたのが、モンゴルの儀仗兵の格好良さです。
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モンゴルの国旗の色にあわせ、イェケ・モンゴル・ウルス(大モンゴル国)のモンゴル兵の甲冑をモチーフにした、実に精悍なファッションです。
儀仗兵が手にするのは、平和を意味する白のスルデという聖幟です。白馬のたてがみの毛でできています。
赤絨毯は、モンゴル国エルデネット特産のウールのじゅうたんで、渋い色合いが特徴です。
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こちらは、政府専用機の窓から、安倍総理自ら撮影された写真。エルデネットの絨毯と儀仗兵、歓迎のための青のハタグ(聖布)を手にした、赤いデールで正装した女性の姿が見えます。

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モンゴル文化の粋の結集。迎賓用のゲル。
このゲルは、何と、大統領官邸の室内にあります。賓客をもてなすための、日本で言えば茶室にあたるものです。
ゲルや椅子や棚などには、モンゴル国特有の、精緻で彫りの深い細工がなされています。

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椅子の錦の刺繍も、モンゴルの知る人ぞ知る工芸品です。
左に見えるのは、かつて文永の役、弘安の役で日本と弓矢を交わした際にモンゴル軍が用いた、当時世界最高の技術で作られた弓です。木と皮革と腱で作られています。乗馬し突撃しながら正確に敵を射る「やぶさめ」の技術は、世界史上最大の帝国を築いた力となりました。
右にあるのは、モリンホール。馬が緑色に彩色されているのが特徴です。

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すべてのモンゴルの聖主、チンギス・ハーン像前。
騎乗するのは、モンゴル陸軍のエリートたちです。
現在でも、密集隊形のまま時速40km以上で疾駆し、槍や刀や弓矢を自在に扱う、モンゴルの騎馬軍団の神業的な技術を継承しています。
鎧は、皮革でできています。鎧や馬具には、モンゴルの工芸品の粋でもある銀細工の彫金が美しく施されています。

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チンギス・ハーンの本隊を、純金で作った見事な工芸品。
中央の大きなゲルにチンギス・ハーンがいらっしゃり、何十頭もの牛が
車輪のついたゲルを引いています。

右にあるお菓子は、ヘビン・ボーブといい、ツァガーンサル(モンゴル暦正月)や祝祭の時に作られます。これほど大きなヘビン・ボーブは珍しく、安倍総理夫妻がいかにモンゴル国で手厚く歓迎されたかを知ることができます。
左端の人物は、在モンゴル日本大使の清水武則さん。モンゴル人民共和国時代から、日本とモンゴル国をつなぐために生涯をささげてきた方で、モンゴル研究者の一面もある、温和で高潔な方です。

銀でコーティングされたお椀に注がれているのは、おそらく、スーテーツァイ(ミルクティー)です。モンゴルのスーテーツァイにも、日本の茶道に負けない豊かで奥深い文化があります。味はほんのり塩味で、香り高く美味です。

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モンゴルの歴代のハーン(皇帝)と夫人の肖像がバックにあります。
デール(モンゴルの伝統衣装)は、正式な舞台で着用します。
民族衣装のデールを大切に着るモンゴルの皆様を前にすると、今の日本の着物の普及率の低さは、再考すべきものがあります。
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大東亜戦争後、ソビエト連邦政府による抑留で、モンゴルで命を落とした日本人たちの追悼施設。
日本はノモンハン事件(モンゴル語ではハルハ河戦争)で、ソ連軍とモンゴル軍と戦火を交えた歴史があります。
しかし、モンゴル国は日本人墓地や追悼施設を大切にしてくださり、ノモンハンでの遺骨や遺品の日本への返還にも協力的です。
歴史上、二度の大きな戦があっても、モンゴルは日本の「友国」なのです。
いわゆる「親日国」や「友好国」という言葉をはるかに超えた関係なのです。

日モ交流史の歴史を今後重視することもまた、日本の必須課題だと思います。

そして。
安倍総理からすべてのモンゴル国の皆様に届けられたメッセージを、ここに転載します。
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平成25年3月29日
モンゴル紙への安倍総理寄稿文


 明日から、私はモンゴルを訪問する機会を得て、エルベグドルジ大統領及びアルタンホヤグ首相、エンフボルド議長と意見交換をいたします。まだ寒さが残るモンゴルを訪れ、桜の花咲く日本の息吹を両国関係にもたらしたいと考えました。
 日本とモンゴルは、2010年に「戦略的パートナーシップ」の構築を共通の外交目標として掲げました。以来、両国は着実に協力と交流を積み重ね、「戦略的パートナーシップ」を推進してきました。そのような両国関係を支えるものは何でしょうか?私は、自由と民主、平和、助け合いの「3つの精神」ではないかと思います。そして、そのような精神に支えられた両国関係を飛躍的に発展させたいと思い、今回、私は訪問を決意しました。以下、日・モンゴル関係を支える精神と「戦略的パートナーシップ」の発展について考えを申し上げたいと思います。

「3つの精神」
(1)自由と民主の精神
 「自由と民主の精神」は日本とモンゴルとの良好な関係と国民間の親近感の基礎です。モンゴルは、1990年以降、自由と民主を国家の基本理念とし、民主化と市場経済化を同時並行して行うという高い理想を掲げ取り組んできました。日本は、19世紀末、明治維新により政治体制を変革し、自由と民主という価値を取り入れ、試行錯誤を重ねてきました。日本が自らの経験を踏まえ、モンゴルの民主化を国際社会の先頭に立って支援してきた歴史は皆さんご承知のとおりです。

(2)平和の精神
 日本とモンゴルは、共に「平和の精神」に支えられています。平和こそが今日の国際社会の発展と繁栄の基礎になるものです。また、我々は、国際社会におけるすべての問題は「力」ではなく、平和的手段により解決されるべきだと考えます。両国は、国際社会において、力の一方的な行使による現状変更ではなく、「法の支配」を望んでいます。

(3)助け合いの精神
 日本とモンゴルとの関係は「助け合いの精神」に貫かれています。日本は世界有数の経済大国であり、世界に誇る先端技術を有しています。モンゴルは、世界にも類い希な若い人口と豊富な資源を有し、限りない成長の可能性を秘めています。日本とモンゴルとの協力は、相互補完的で、お互いにとってプラスになりうるものです。
 また、両国国民は、困難に見舞われたときに手をさしのべる「助け合い」の関係にあります。日本は、モンゴルの民主化の努力に対して、最大のODA供与国として一貫して物心からの支援を行ってきました。モンゴルからは、1995年の阪神大震災や2011年の東日本大震災といった我が国の自然災害に際し、温かい支援を頂きました。
 東日本大震災の際には、これまで国外に派遣されたことのないモンゴルの緊急援助隊が初めて海外派遣され、震災直後のまだ交通も混乱した状況の中で宮城県名取市、岩沼市等の被災地に赴き、緊急援助活動で活躍していただきました。また、モンゴルの全国家公務員がそれぞれ1日分の給与を寄付していただく等、官民を問わず、各界から温かい義援金を頂きました。モンゴル政府から外国における災害に対して提供した義援金としては、過去最大の額であったと聞いています。その他、毛布やセーター、靴下といった防寒具などの緊急支援物資も頂きました。モンゴル政府と民間の方々のご招待により、2011年4月から9月にかけて計4回にわたり多くの被災者がモンゴルを訪れることができました。日本のすべての国民に代わり、改めて感謝申し上げるとともに、これら支援をめぐる話の中には、自由と民主、平和、助け合いという「3つの精神」が溶け込んでいるかと思い、特にここで紹介申し上げます。

 今回、私は日本の総理大臣として7年ぶりにモンゴルを訪問します。このような機会に、私は、政治・安全保障、経済、人的・文化交流の3つの分野で協力を推し進め、「戦略的パートナーシップ」を加速的に推進していきたいと思います。

(1)政治・安全保障分野の協力
 まず、「戦略的パートナー」であるモンゴルとの間では、政治・安全保障分野の協力を進めたいと思います。昨年の外交関係樹立40周年に際し、日本とモンゴルとの間では2度の首脳会談が行われました。近年、両国間のハイレベルの対話は活発化しており、今後ともハイレベルでの交流を様々な形で積極的に推進していきたいと思います。
 また、関係部門間でも、様々なレベルで戦略的な対話を進めていきたいと考えます。 また、モンゴルは二国間関係のみならず、地域・グローバルな課題において、価値観を共有するパートナーです。これまでも北朝鮮情勢、国連改革、気候変動、アジア太平洋地域における多国間の協力といった諸問題について協力をしてきました。更に多くの分野で協力、意見交換を行い、ますます緊密な関係を築いていきたいと思います。

(2)経済関係の更なる促進
 戦略的パートナーであるモンゴルとは、経済分野での協力も重要です。現在、日本では、経済の活力を取り戻そうと懸命な努力をしています。元気な日本、再挑戦のできる活力ある日本を目指しています。モンゴル語で「活力」は「エルチ(Erch)」、「エルチ・フチ(Erch khuch)」というようですが、経済や社会における活力が新しい未来を作っていきます。
 日本とモンゴルが貿易・投資を拡大することは、両国経済に活力を与えます。特に、モンゴルの強みともいえる豊富な鉱物資源において、協力を進めていきたいと思います。多くの日本企業が高い関心を有しており、日本からの投資が増加すれば、モンゴルの経済成長を力強く後押しすることになるでしょう。また、日本は、インフラ、エネルギー、環境、農牧業、防災、医療等の幅広い分野で、モンゴルの開発を支援しています。
 こうした支援は、モンゴルが資源のみに依存しない、多様な産業を育む国になることに貢献しています。そして、これは、モンゴルでの機会を拡大し、新しい投資の呼び水となり、モンゴルの更なる発展につながることでしょう。 こうした考えの下、私は明日の首相との会談において、新しい協力のイニシアティブを提案したいと思っています。

(3)人的交流・文化交流の活性化
 日本とモンゴルとの温かい感情的結びつきを支えるのは、両国国民間の交流です。モンゴルは、日本の大相撲にこれまで3名の横綱を輩出し、我々日本人にとっても大変親しみ深い国です。モンゴルでも日本語学習熱が高く、また様々な分野で1000名を超える留学生が我が国で学んでいます。留学生交流や青少年交流、民間友好諸団体による交流活動、議会間交流といった様々な分野での交流も着実に行われており、嬉しく思います。両国関係を更に発展させ、安定して良好な関係を維持していくためには、国民間の良好な感情が不可欠です。私としては、今回の訪問を機に、両国国民間の交流を更に強力に推し進めていきたいと思います。

 今、日本では、桜の花が盛りを迎えています。日本とモンゴルの良好な関係も、それを支える「3つの精神」も、一朝一夕に花をつけ咲いたのではありません。今回の私の訪問が、日本とモンゴルとの関係を飛躍させるために努力している両国民に春の温かい風となり、「戦略的パートナーシップ」に見事な花を咲かせるべく全力を尽くしていきたいと思います。
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日本からのモンゴルへの感謝と、共に未来を築いていく心を、安倍総理はしっかりと言葉にまとめてくださいました。

そしてモンゴルの皆さん。
こんなにも手厚く日本を歓迎してくださり、本当にありがとうございます。