大相撲の横綱の白鵬関が日本国籍の取得申請中であることと、それが引退後に親方となることを目的とてしたことがメディアで報じられ、様々な意見が各方面から発信されています。
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白鵬関の帰化申請を良く思わない意見には、白鵬関が春場所の千秋楽の土俵下で三本締めを行ったことへの批判にからめたものが多いです。

こちらについては、あくまで国技としての相撲の儀礼上の順番の問題として、日本相撲協会が対処を検討中です。

しかしながら、何かにつけて白鵬関について「横綱としての品格が」や、挙げ句に「日本の品格が」と口擊する人達には、少し冷静に考えて欲しいと思います。

白鵬関は平成最後の春場所の千秋楽を終え、天皇賜杯の授与の後に、平成からの御代替わり(みよがわり)にあたり大相撲の興隆を観客と心を一つに祈願するため、三本締めを行っています。

儀礼上の順序の違いはその後に識ったことであり、観客の皆様もほとんどが喜んで三本締めに手を合わせています。
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白鵬関がどれほど天皇賜杯の授与の大切さを理解しているかは、明治神宮の公式Webの記事でも紹介されている、柔道の山下泰裕さんとの対談からも良く分かります。
http://www.meijijingu.or.jp/shiseikan/yamato/099.html

白鵬関に対して「横綱の品格が」と口擊される人達には、ご自身の言説や態度に「日本人としての品格が」どれほどあるのか、今一度、自分自身を見直すことをおすすめします。
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また、白鵬関にとって国籍をモンゴルから日本に変更することは、考えに考えての決断です。
ブフ(モンゴル相撲)の英雄を父にもつ白鵬関が日本人女性と結婚した当時、モンゴル国内でも白鵬関はモンゴル人ではなく日本人になるのではないかという心配の声が数多くあがりました。なぜなら、モンゴル人の愛国心や民族の誇りは、大変に強いものがあるからです。
白鵬関もまた、決して経済的な理由などで気軽に日本国籍の取得を申請したわけでないことは、はっきりしています。
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モンゴル人としての民族の誇り。
日本の国技を次世代へと継承していく責任。
そして、これからのモンゴル人力士たちの育成という志。
これら全てを護り背負うための選択肢としての日本国籍取得申請。
並々ならぬ不退転の決意であると私は考えます。

日本国籍の取得については、膨大な書類手続きを必要とする一方で、日本という国に対する愛や忠誠を一切必要としない手軽さの両方が現実問題として存在します。
あくまで経済的な利便性だけで日本国籍の取得を行う立場からは、日本が多重国籍を認可するべきだという制度変更の主張までおこります。
テニスの大坂なおみ選手がグランドスラムで優勝したときも、優勝会見でテニスの質問ではなく国籍の制度の質問をして大坂選手を困惑させた新聞記者がいたことも、記憶に新しいでしょう。

自身の民族の誇りを忘れず日本の文化伝統を大切にしその継承の責任を背負う、日本国籍の取得。
白鵬関がこうした日本の新たな時代の「鑑」となることを、私は祈願いたします。

平成31年4月22日
みずばしょう


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