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【写真 何もないような大平原の真っただ中にあるボクツの水場。飲めるので早速、ポリタンクに入れる

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【写真◆岩山の水が流れるマザーライシャンド。塩分があるというが、貴重な水場だ

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【写真】保護区内で最も水量があるシャルフスの水場。ヨコエビとみられる生物もいるトーロイなど周辺の植物も勢いが感じられる

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【写真ぁ曠張.ーンボルガスの水場のトーロイの木。砂漠の中のオアシス

 

 ヒグマの仲間「マザーライが出没する大ゴビ特別自然保護区(A地区)は、四国4県よりも広い4万4000平方キロメートル。このA地区の水場は16カ所あるという。私たちは、このうち、バロントーロイ、ボクツ、マザーライシャンド、シャルフス、ツァガーンボルガスの5カ所を廻った。

 バロントーロイの水場では、マザーライと野生ラクダ「ハブトガイ」の死体を相次いで見つけた。ハブトガイは、わずかばかりの水たまりを覆うように横たわり、ハゲワシなどの動物に食われた無残な姿をさらしていた。死体で見つかったマザーライも、この死肉を食べていたかもしれない。

 ボクツの水場は、何もないような荒野の中の深い水たまりだった。周囲にはヨシが茂っている。ここの水は飲んでも大丈夫ということで、早速ポリタンクに入れた。

 池のそばに水路が築かれていた。動物たちが水を飲みやすいようにするためだが、水量が足りないせいか、それとも砂漠での施工技術上の問題なのか、使われないまま壊れた状態だった。

 マザーライシャンドは、岩山の谷を流れる滑床の沢だ。ここの水は、塩分が含まれているということで、沢筋に白い帯が続いていた。周辺にはマザーライやオオカミの足跡があった。アイベックス(野生ヤギ)が岩山を駆け上る様子が見えた。遠くでハブトガイとみられるラクダが草か何かを食べている姿も見ることができた。

 シャルフスの水場は、保護区内で最も植物に勢いがある。岩山から流れを形成しており、水量が結構ある。体長1〜2センチのヨコエビとみられる生物もいた。ここの水も飲めるので、ポリタンクに入れた。

シャルフスの沢は、ヨシ原を抜け、道路の上を流れ、緩斜面を下ると、いつの間にか消えていた。伏流水になっているようだ。山ろくのどこかで井戸を掘れば、利用できるに違いない。

 ツァガーンボルガスの水場は、小さな谷状の所で、わき水が小川になっているが、水量は少なめだ。トーロイの木は、シャルフスに比べると、まばらで、葉の勢いも感じられない。しかし、痛々しいというより健気というか、大丈夫私は生きています」とでも言っているかのように思えた

(マザーライについて詳しくは拙著「あんだいつまでも新モンゴル高校と日本」第5章「ゴビ砂漠のクマ」をご覧ください)

▽森修 もり・しゅう

1950年、仙台市生まれ。元河北新報記者。1998年、山形市で勤務していたとき、たまたま入ったバーでアルバイトしていたモンゴル人の留学生と出会う。以来、モンゴルの魅力に取りつかれ、2005年「モンゴルの日本式高校」、2012年「あんだいつまでも新モンゴル高校と日本」をそれぞれ自費出版。