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【本気のチップは伝わる】

モンゴル・ウランバートル、チンギスハーン国際空港。

空港からウランバートル中心へとタクシーに乗り、ホテルへ向かった。


わたしは、サバ折りで殺されかけたことがある。

内モンゴルで1ヶ月半ほど沙漠緑化のボランティアをしたあと、包頭周辺のチベット寺院を巡った時だ。


旅の途中で声をかけられた白タクの運ちゃんに300元を払ってチャーターし、半日あちらこちらと訪ねてまわる。

………つもりが運ちゃんは、しょっぱなから自宅に車を着け、子供を乗せて学校に送りつつ、さらには奥さんを同乗させてきた。

しかも、行き先から包頭市内に戻るのに道に迷い、日が暮れる。

真っ暗で真っ直ぐで、まわりは何もない荒野の一本道を、不安げに車を走らせる。

後ろの奥さんは
「もう解放してー!」
と叫びだす始末だ。


けれども、わたしがこころひそかに

「じゃがいもさん」

と名付けた、メイクイーンのような面長で、ぼくとつな運ちゃん。

100%困りながらも、途上のガソリンスタンドやらレストランやらで道をたずねながら、なんとか包頭市内に帰り着いた。


「じゃがいもさん」は家に帰りたくて必死だったのかもしれないけれども、わたしは文句ひとつ言わず黙々と道を探し、車を走らせた「じゃがいもさん」に感動してしまった。

そこで去り際に300元を渡したあと
「为你的孩子(あなたのお子さんのために)」
とさらに100元をチップとして渡した。


すると「じゃがいもさん」もえらく感動したらしく、全身まるごと抱きついてきた。

背骨が折れ、殺されるかと思うほど強烈なサバ折りだったが、気持ちが伝わってうれしかった。


ひるがえって、この夏のモンゴル。

現地時間18:30の到着だったので、夏の日は長くとも、はやく予約したホテルにたどり着きたい。

だまされたひとによると、50ドルくらいは取られるらしいが、空港に 出口にたむろしていた運ちゃんが、15ドルでウランバートルの中心へ車を走らせてくれた。


車中、英語のモンゴルガイドブックを見せられて

「2冊で20ドル、これはチップがわりだ」

とすすめられるが、日本語のガイドブックがあるので、とりあえずはNOだと伝える。

カタコトの英語とカタコトのモンゴル語を交えながら、モンゴルと日本の天気の違い、自然のこととか。

手持ちのiPhoneを見せると

「マジ?iPhone⁈ We love サムソン!」

なぞ、あれこれ話し合いながら、帰宅ラッシュの渋滞に突っこんでいき、 20:00ごろ、市内のホテルに前にたどり着く。


空港でモンゴル通貨を両替していなかったので、10ドル紙幣2枚を渡す。

正直なところ、ひさしぶりのモンゴルでリアルな物価もわからず、不安だった。

そこをボッタクリもせず、まずまずまともな値段で市内へ車を走らせてくれた運ちゃんに、すごい感謝したので

"You help me. 5$ is tip."

と20ドルごと渡したら、さっきからチップの売り込みをしてきた運ちゃんが、5秒ほど幽霊でも見るようにぼ−っとわたしの顔を見たあと、とても丁寧に荷物を降ろす手伝いをしてくれた。


エラそうにひとを使っているわけではない。
サービスの等価交換でもない。


支払い伝票にあらかじめチップ額を書き込む、欧米型のサービスもあるだろう。

でも、本気でありがとうと思って、対面で渡すチップは、やっぱり相手のこころに響くのだと思う。

わたしも、うれしいのだ。

モンゴル旅行体験談