日馬富士関が貴乃岩関に対してケガを負わせ、責任を取って角界を引退した中で、なぜか日本のネット上では、愛国保守系の言論人やユーザーが白鵬関をバッシングしています。
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授の八幡和郎さんは「アゴラ」で複数回記事を発表し、「モンゴル人力士がともかく嫌いという国粋主義者のネトウヨ」という言葉を用いています。
ネトウヨとは、インターネットを媒体として右翼の発言〜日本への愛国心に基づく情報発信〜を行う人たちへの蔑称です。狭義には、現政権の支持し、中国・韓国・北朝鮮による日本をおとしめる行為をストレートに批判するユーザーが、「ネトウヨ」とみなされます。
一方で、攻撃的な感情が極度に先鋭化しカルト化することを自制するための言葉として「ネトウヨにならないように」などの言説で限定的に用いることもあります。ここでは、そうした趣旨のもとで話をすすめます。
結論から言うと、
角界に根強くある暴力の隠蔽体質を改善すべく努力する貴乃花親方
VS
「日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたい」と発言した白鵬関
という、
あたかも貴乃花親方と白鵬関が対立関係にあるかのような報道を受けて、貴乃花親方を支持し白鵬関をバッシングするという展開になっています。
白鵬関へのバッシングの内容は実に様々ですが、主なものは以下の通りです。
・肘うち(かち上げ)や張り手などの乱暴な相撲を行っている
(変化とあわせて横綱相撲の議論はあるが、反則行為ではない。)
・現場にいたのに日馬富士関を止めなかった
(警察と相撲協会の両方の事情聴取に協力しています。その関係上、本人から報道などの第三者に直接事情説明できない状況にあります。)
・行司の審判に物言いをつけた
(後に厳重注意されたものの、白鵬関に悪意はなく、来場者も不快な表情をしていない。)
・万歳三唱を勝手に行った
(前人未到の40回優勝を白鵬関と共に祝え、来場者は皆大喜びで万歳している。)
・「貴乃花親方が巡業部長なら行きたくない」という趣旨の発言
(「行きたくない」とは言っていないことが後に報じられる。)
・巡業中に和服ではなく"MONGOLIAN TEAM"のジャージを着ていた
(入浴後なので問題はない。ジャージはモンゴル相撲協会から善意で贈られたもの。)
・根拠がない「関係者情報」と「憶測」
(根拠がない以上、話題にする価値はまったくない)
こうして並べてみると分かりますが、愛国保守かどうかに関係なく、単なる白鵬バッシングの報道を、そのまま鵜呑みにした反応でしかありません。
そもそも、事件発覚直後のネットの反応は、モンゴル人力士差別につながるものでは決してありませんでした。
むしろ、2007年の時津風部屋力士暴行死事件以降も変わっていない角界の暴力への隠蔽体質を問題視した内容が主流でした。
モンゴル国でも、初期の報道内容が、事件の真偽すら不明なほど少なかったことが問題になりましたが、日本人がモンゴル人を差別しているという内容とは異なるものでした。
にも関わらず、
貴乃花親方が相撲協会の事情聴取に一切応じないことが批判的に報道され
↓
日馬富士関の引退表明後は、一転して白鵬関バッシングの報道がおこり
↓
貴乃花親方を支持する愛国保守系の言論人やユーザーが、白鵬関のバッシングを加熱した
という展開になっています。
しかし、白鵬関は大相撲九州場所の千秋楽の後、
「真実を話して膿(うみ)を出し切り、日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたい」
と発言。警察捜査への全面協力による角界改善の意思表明をしています。この点で、貴乃花親方とは対立関係にありません。
また、白鵬関は日本の国技としての相撲を誰よりも大切にしており、角界の不祥事が続いた影響で優勝時に天皇賜杯が授与されなかったことに涙し、今上陛下より激励の手紙を受けたこともあるほどです。
貴乃花親方もまた、今回の事件を受けて、
「日本国体を担う相撲道の精神、相撲道の精神とは、角道と言います。角(くら)べる道と書きます。私どもが相撲協会教習所に入りますと、陛下が書かれた角道の精華という訓があります。これを見て、いちばん最初に学びます。この角道の精華に嘘つくことなく、本気で向き合って担っていける大相撲を。」
と、角道を歩む貴乃花部屋の親方として改めて決意を話されています。
貴乃花親方も白鵬関も、日本の国技である相撲に全身全霊で取り組まれており、同じ道を同じ方向に歩んでいます。
それを、
貴乃花親方を支持するから白鵬関をバッシングする
白鵬関を支持するから貴乃花親方をバッシングする
ネトウヨは貴乃花親方を支持して白鵬関をバッシングする
このようなネット世論を形成して、誰が傷つき、そして、誰が笑うでしょうか?
普段から「偏向報道」や「報道しない自由」に敏感なはずのネットユーザーの皆様には、是非とも考えていただきたいと思います。
参照Web:
白鵬の相撲が評価されないのは常陸山の亡霊がゆえ
八幡 和郎
アゴラ(2017/12/01)
http://agora-web.jp/archives/2029808.html
国技意識の高い白鵬と、親方として最低の貴乃花
八幡 和郎
アゴラ(2017/12/05)
http://agora-web.jp/archives/2029867.html
貴乃花親方「叩かれようが、さげすまれようが力士を育てていく」 打ち上げで明言
サンスポ(2017.11.27)
http://www.sanspo.com/sports/news/20171127/sum17112716030009-n3.html
日馬富士、引退会見全文 貴ノ岩に「礼儀と礼節を忘れずにちゃんとした生き方をして」
スポーツ報知(2017/11/29)
http://www.hochi.co.jp/sports/sumo/20171129-OHT1T50164.html
「真実話し、膿出し切る」 千秋楽で白鵬が謝罪
日本経済新聞(2017/11/26)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23918630W7A121C1CC1000/
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授の八幡和郎さんは「アゴラ」で複数回記事を発表し、「モンゴル人力士がともかく嫌いという国粋主義者のネトウヨ」という言葉を用いています。
ネトウヨとは、インターネットを媒体として右翼の発言〜日本への愛国心に基づく情報発信〜を行う人たちへの蔑称です。狭義には、現政権の支持し、中国・韓国・北朝鮮による日本をおとしめる行為をストレートに批判するユーザーが、「ネトウヨ」とみなされます。
一方で、攻撃的な感情が極度に先鋭化しカルト化することを自制するための言葉として「ネトウヨにならないように」などの言説で限定的に用いることもあります。ここでは、そうした趣旨のもとで話をすすめます。
結論から言うと、
角界に根強くある暴力の隠蔽体質を改善すべく努力する貴乃花親方
VS
「日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたい」と発言した白鵬関
という、
あたかも貴乃花親方と白鵬関が対立関係にあるかのような報道を受けて、貴乃花親方を支持し白鵬関をバッシングするという展開になっています。
白鵬関へのバッシングの内容は実に様々ですが、主なものは以下の通りです。
・肘うち(かち上げ)や張り手などの乱暴な相撲を行っている
(変化とあわせて横綱相撲の議論はあるが、反則行為ではない。)
・現場にいたのに日馬富士関を止めなかった
(警察と相撲協会の両方の事情聴取に協力しています。その関係上、本人から報道などの第三者に直接事情説明できない状況にあります。)
・行司の審判に物言いをつけた
(後に厳重注意されたものの、白鵬関に悪意はなく、来場者も不快な表情をしていない。)
・万歳三唱を勝手に行った
(前人未到の40回優勝を白鵬関と共に祝え、来場者は皆大喜びで万歳している。)
・「貴乃花親方が巡業部長なら行きたくない」という趣旨の発言
(「行きたくない」とは言っていないことが後に報じられる。)
・巡業中に和服ではなく"MONGOLIAN TEAM"のジャージを着ていた
(入浴後なので問題はない。ジャージはモンゴル相撲協会から善意で贈られたもの。)
・根拠がない「関係者情報」と「憶測」
(根拠がない以上、話題にする価値はまったくない)
こうして並べてみると分かりますが、愛国保守かどうかに関係なく、単なる白鵬バッシングの報道を、そのまま鵜呑みにした反応でしかありません。
そもそも、事件発覚直後のネットの反応は、モンゴル人力士差別につながるものでは決してありませんでした。
むしろ、2007年の時津風部屋力士暴行死事件以降も変わっていない角界の暴力への隠蔽体質を問題視した内容が主流でした。
モンゴル国でも、初期の報道内容が、事件の真偽すら不明なほど少なかったことが問題になりましたが、日本人がモンゴル人を差別しているという内容とは異なるものでした。
にも関わらず、
貴乃花親方が相撲協会の事情聴取に一切応じないことが批判的に報道され
↓
日馬富士関の引退表明後は、一転して白鵬関バッシングの報道がおこり
↓
貴乃花親方を支持する愛国保守系の言論人やユーザーが、白鵬関のバッシングを加熱した
という展開になっています。
しかし、白鵬関は大相撲九州場所の千秋楽の後、
「真実を話して膿(うみ)を出し切り、日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたい」
と発言。警察捜査への全面協力による角界改善の意思表明をしています。この点で、貴乃花親方とは対立関係にありません。
また、白鵬関は日本の国技としての相撲を誰よりも大切にしており、角界の不祥事が続いた影響で優勝時に天皇賜杯が授与されなかったことに涙し、今上陛下より激励の手紙を受けたこともあるほどです。
貴乃花親方もまた、今回の事件を受けて、
「日本国体を担う相撲道の精神、相撲道の精神とは、角道と言います。角(くら)べる道と書きます。私どもが相撲協会教習所に入りますと、陛下が書かれた角道の精華という訓があります。これを見て、いちばん最初に学びます。この角道の精華に嘘つくことなく、本気で向き合って担っていける大相撲を。」
と、角道を歩む貴乃花部屋の親方として改めて決意を話されています。
貴乃花親方も白鵬関も、日本の国技である相撲に全身全霊で取り組まれており、同じ道を同じ方向に歩んでいます。
それを、
貴乃花親方を支持するから白鵬関をバッシングする
白鵬関を支持するから貴乃花親方をバッシングする
ネトウヨは貴乃花親方を支持して白鵬関をバッシングする
このようなネット世論を形成して、誰が傷つき、そして、誰が笑うでしょうか?
普段から「偏向報道」や「報道しない自由」に敏感なはずのネットユーザーの皆様には、是非とも考えていただきたいと思います。
参照Web:
白鵬の相撲が評価されないのは常陸山の亡霊がゆえ
八幡 和郎
アゴラ(2017/12/01)
http://agora-web.jp/archives/2029808.html
国技意識の高い白鵬と、親方として最低の貴乃花
八幡 和郎
アゴラ(2017/12/05)
http://agora-web.jp/archives/2029867.html
貴乃花親方「叩かれようが、さげすまれようが力士を育てていく」 打ち上げで明言
サンスポ(2017.11.27)
http://www.sanspo.com/sports/news/20171127/sum17112716030009-n3.html
日馬富士、引退会見全文 貴ノ岩に「礼儀と礼節を忘れずにちゃんとした生き方をして」
スポーツ報知(2017/11/29)
http://www.hochi.co.jp/sports/sumo/20171129-OHT1T50164.html
「真実話し、膿出し切る」 千秋楽で白鵬が謝罪
日本経済新聞(2017/11/26)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23918630W7A121C1CC1000/
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